きょうの旅のはじまり
この日は車で伏見稲荷大社へ向かった。時刻は深夜、だいたい午前3時ごろ。昼間は観光客でごった返すこのあたりも、この時間帯になると驚くほど静かで、周辺を走る車も人の気配もほとんどなかった。
伏見稲荷大社の駐車場は年末の時期ということもあって利用できなかったけれど、近くにはコインパーキングがいくつもある。深夜料金はかなり良心的で、1時間以上停めても数百円程度。時間を気にせずお参りができる。
わざわざ深夜の参拝を選んだのは、人の少ない時間に写真を撮りたかったから。そして、滅多に味わえない非日常感を味わいたかったから。一番上まで登るつもりはなく、境内をのんびり歩きながら雰囲気を味わえればそれでいい。そんな気持ちで鳥居の前に立った。
きょうはそんな深夜の伏見稲荷大社でのお参りを振り返ります。
写真で歩く「深夜の伏見稲荷大社」
楼門の前に立つ

鳥居をくぐってまず目に入るのが楼門。朱色は夜でもはっきりしていて、照明に照らされた姿は昼間とは印象が違う。人がほとんどいない分、建物の迫力をダイレクトに感じる気がした。
境内の入り口は明かりも多くて足元も見やすい。それでもあたりが静かすぎて自然と足音に意識が向く。カツカツと自分の靴音だけが辺りに響く。深夜に人気のない神社に立っている。その事実だけで少し緊張感があった。
楼門と神の眷属

楼門を見上げると朱色の構造がより強調されて見える。昼間は人の視線や動きに惑わされて意識しない細部も、夜だとはっきりと目に入る。近くには神様の眷属たる狐像が鎮座している。こちらも昼間よりも存在感が増している気がする。
伏見稲荷大社といえば千本鳥居。こんなに明るい場所でも雰囲気に圧倒されているのに、この先の千本鳥居へ歩みを進めて大丈夫なのか。この先を歩いていく覚悟のようなものを求められた。
千本鳥居の入口へ

楼門を抜けて千本鳥居の入口へと向かう。ここから先は明かりの数が少し減り、空気も変わる。
入り口付近はまだ見通しがきくけれど、鳥居が重なり始めると奥の様子は分かりにくい。この時間帯だと足を踏み入れるだけで少し勇気が要った。先ほどよりも少し恐怖感を覚えた。というか、普通に怖かった。
夜の千本鳥居は怖い

千本鳥居の中は想像していた以上に暗かった。道そのものは舗装されていて明かりもあるけれど、周囲の木々は全くライトアップされていない。歩いている間に他の参拝者とすれ違うことはなかった。まるで自分だけがこの世界に取り残されたような、神隠しにあうとこんな感じなのかななどと妄想してしまった。
途中でタヌキらしき野生動物が横切ったり、どこからか動物の鳴き声が聞こえたりする。伏見稲荷大社といえば呪いの藁人形というイメージもあって緊張感が高まった。神聖な場所でも怖いものは怖い。
境内を歩き終えて見えた景色

千本鳥居を進んでいく途中に視界が開ける場所がある。そこで立ち止まると京都市内の夜景が遠くに広がっていた。緊張感が続いていた分、この景色は少しほっとする。下に見える街の灯りは静かで、深夜三時という時間帯らしい落ち着いた光だった。
境内には1時間ほど滞在した。のんびり写真を撮ってお参りをした。一番上まで登らなくても雰囲気は十分に味わえたと思う。帰り道、警備員の方が巡回している姿を見かけた。「ここに自分一人ではなかったんだ」という安心感を覚えながら帰路についた。
ふと、思ったこと
深夜でも境内は管理されていた
明かりはしっかり点いていて道も整備されている。警備員の方が巡回している姿も見かけた。深夜だからといって放置されている感じはなく、参拝できる環境は保たれていたと思う。
思っていた以上に怖い
入口付近は明るいけど千本鳥居に入ると印象が変わる。周囲の木々は暗く視界も限られる。
藁人形を想像してしまったり、人気が全くなかったり。正直なところ緊張感はずっとあった。
深夜帯は素晴らしい
深夜帯は人が全くと言っていいほどいない。人の流れを気にせず、写真を撮ったりお参りしたりできたのはかなり良かった。
雰囲気も抜群で、いつもなら人混みで見流しがちな建築物のディテールも観察できる。恐怖心にさえ目を瞑れば深夜帯にお参りするのは素晴らしいとしか言いようがない。
頂上までいかなくても十分
今回は頂上まで登らず途中まで。それでも境内の雰囲気や千本鳥居の空気感はしっかり味わえた。深夜という条件もあって無理をしない判断でちょうどよかったと思う。
怖いし疲れるしとなると、いくら照明があるとはいえ危ないかもしれない。本当は疲れて登りたくなかっただけなんだけど・・・・・・。
そっと置いとく、豆知識
深夜でも参拝は可能
伏見稲荷大社は基本的に24時間参拝が可能。深夜でも境内に入ることができるし明かりも点いている。警備員さんもいるから比較的安心して深夜に来れるスポットだと思う。
車でもアクセスしやすい
昼間は混雑する周辺道路も深夜はかなり空いている。近隣にはコインパーキングが複数あり、神社の駐車場が使えない時でも対応しやすい。
しかもコインパーキングは安いところも多い。今回利用したコインパーキングは1時間以上停めても数百円程度。時間を気にせず滞在できるのはありがたい。
夜間は売店や飲食店は閉まっている
境内周辺の売店や飲食店は深夜には営業していない。参拝と散策が目的と割り切って訪れるのが前提になる。一応近くのコンビニは空いていたから、今回は缶コーヒーを購入した。冷えた体に温かい缶コーヒーが沁みた。
旅の余韻でしめくくり
境内を一通り歩いて車に戻ったのは深夜四時前後。体は少し冷えていたけれど頭は不思議とすっきりしていた。
昼間の伏見稲荷大社とはまったく違う表情だったと思う。賑わいはないけれど、その分、印象に残る散策とお参りをすることができた。あまりの非日常感に、この1時間ちょっとの歩みは記憶にはっきりと残っている。
誰にでもおすすめできる参拝ではないけれど、人の少ない時間帯に静かに境内を歩いてみたい、非日常感を味わってみたい、そんな人には向いている。そんな深夜の伏見稲荷大社だった。


